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松風メディカルVo.3-結膜炎-

まつげエクステに纏わる目の病気

■はじめに
今回は、ウイルスなどの感染やアレルギーによって起こる「結膜炎」について解説します。そもそも、まつげエクステをしていない人でもなってしまうことのある病気です。  例えば、春や秋になると花粉症で目の痒みや流涙などを患う方が比較的多くおられますが、これも結膜炎のひとつです。そのため、一般の方にもよく知られた病気です。まつげエクステの施術後「まぶたが腫れた」「目が痒い」などのご相談をお受けしたら、直ちに眼科医の診察を受けるようお伝えしましょう。
※万一、顧客から上記の症状を呈したと相談を受けた場合は、安易に自ら解決しようと試みるのではなく(お客様と因果関係を一緒に考えてどうするか検討するのではなく)、まずは眼科を受診してもらうという心構えが必要です。

ここからは「結膜炎」について

■結膜とは?
結膜とは、白目とまぶたの裏側を覆っている、半透明の薄い膜のことです。異物や病原体の侵入などから目を守る働きをしています。
■結膜炎とはどのような病気なのか?
何らかの原因で結膜に炎症が起きる病気を「結膜炎」と言い、充血、かゆみ、目ヤニなど様々な症状が現れます。結膜炎には、大きく分けてウイルスや細菌などに起因する「感染性結膜炎」とアレルギーなどに起因する「非感染性結膜炎」の二つがあります。

感染性結膜炎

1 ウイルス性結膜炎
ウイルスの感染によって起きる結膜炎です。ウイルスは細菌よりもずっと小さく、他の生物の細胞に入り込んで増殖します。また、結膜炎を引き起こすウィルスは温度や湿度が高い場所を好むため温かい季節によく流行します。 ウイルス性の中でも「流行性結膜炎」「咽頭結膜炎」「出血性結膜炎」は特に感染力が強く、「はやり目」とも呼ばれています。
a)流行性結膜炎
アデノウイルスと呼ばれるウイルスの一種によって起こる結膜炎です。症状は、非常に強いものが多く、白目部分の充血、大量の目ヤニ・涙が出る、瞼の腫れ、目の痛みなどを生じます。結膜以外にも、角膜(黒目の部分)がキズついて目がゴロゴロしたり、耳の前にあるリンパ腺がはれ、触れると痛んだりすることがあります。また、子供や症状の強い人の場合には、まぶたの裏側の結膜に偽膜という白い膜が出来ることがあります。
流行性結膜炎は、約1週間から10日の潜伏期間を経て発病します。初めは、片目から発症し数日後にもう片方の目にも症状が生じます。発症してから約1週間の間まで強い症状が続きますが、その後しだいに軽くなり2~3週間で治ります。
結膜炎の症状が改善するころに、角膜の表面に小さい濁りがでてくることがあります。濁りがでると、目のかすみやまぶしさを感じます。これは時間が経つにつれて、自然に消えていきますが、重症の場合はステロイドの目薬を使うことがあります。濁りは、数か月続く場合があります。
b)咽頭結膜熱(プール熱)
流行性結膜炎とは型違いのアデノウイルスによって起こる結膜炎です。夏かぜとして流行り、結膜炎の症状だけでなく、のどの痛みや39度前後の熱が出て、時には吐き気がしたり、下痢をすることもあります。潜伏期間や経過などは流行性角結膜炎と似ていて、1週間ぐらいで良くなっていきます。結膜炎の症状が治っても数週間ぐらいは、便の中にウイルスが排出され、プールで感染することがあるので「プール熱」とも呼ばれます。
c)出血性結膜炎
流行性角結膜炎と良く似ていますが、他のウイルス(エンテロウィルスやコクサッキーウィルス)が原因です。症状はやや軽目で、角膜が濁ることもありません。特徴は、白目部分が出血(結膜下出血)することですが、最近は出血が少なくなっています。潜伏期間は1日前後で、ほとんどの場合は、両目に発症し、発病してから1週間ほどで自然に治ります。
■ウイルス性結膜炎の治療と予防
ウイルスを直接退治する特効薬はありませんので、体内でウイルスに対する抗体が作られ、自然に治るのを待つことになります。補助的なものとして、炎症を抑え、細菌との混合感染を防ぐための目薬を使用します。その他、症状によっては、眼軟膏を併用することがあります。
もし、ウイルス性の結膜炎に感染した場合、ウイルスは目に触れた手、目ヤニや涙などを介して感染しますので、まわりの人にうつさないように予防することが大切です。
・目に触れたり、こすったりしない。
・流水と石鹸でよく手を洗う。
・タオルやハンカチなど目に触れるものは共有しない。
・目ヤニや涙は、テッシュペーパーなどの使い捨てのもので拭いてすぐに捨てる。
・お風呂は最後に入り、湯船の湯は毎回変える。
感染の恐れがある期間は、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱では発病から約1~2週間、急性出血性結膜炎では3~4日です。周囲への感染を防ぐためになるべく仕事を休み、自宅療養するのが望ましいです。

2 細菌性結膜炎
細菌に感染することによって起きる結膜炎です。原因となる細菌はいろいろありますが、ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などが主な病原菌です。 症状は、結膜の充血、目の異物感、目ヤニが出るなどがあり、目ヤニは、黄色くべったりと粘り気があるのが特徴です。体が弱っている時に感染しやすく、人から感染することはあまりないと言われています。特別な耐性菌が原因でない限りは抗生物質の目薬がよく効いて、数日から1週間程度点眼すれば症状が改善して治ります。

非感染性結膜炎

■アレルギー性結膜炎
人には感染せず、アレルギー反応によって起る結膜炎です。症状は、目がかゆくなるのが一番の特徴で、他にも充血、目ヤニ、なみだ目、まぶたの腫れなどを生じます。
アレルギー性結膜炎には、花粉症のように一時期の季節だけに発症するものと、ダニやハウスダストなどが原因で季節に関係なく発症する通年性のものがあります。また、結膜だけでなく角膜にも炎症や潰瘍がおこる春季カタルやアトピー性角結膜炎など、難治療の病気も含まれています。
補足:アレルギーについて
人間の体は、外から細菌やウイルスなどの有害な異物が入ると、それに抵抗するために抗体を作り、異物を排除します。この仕組みを「免疫反応」といい、体を病原体から守っています。しかし、免疫に異常が起こると、本来害の無いものに対してまで過剰に反応して攻撃し、様々な病気を引き起こします。これがアレルギーです。免疫反応の原因となる物質を「抗原」といい、抗原の中でもアレルギー反応を引き起こすものを「アレルゲン」と呼びます。
目は物を見るために直接外界に接していて抗原が侵入しやすく、非常にアレルギーの症状が現れやすい場所です。また、アレルギーによる病気は、最近特に患者さんの数が増加しています。正確なことはまだ解っていませんが、
・スギやヒノキの植林により花粉の飛散量が増えたこと。
・土の地面が減り、アスファルトが増えたことで、花粉が地面に残りやすくなったこと。
・排ガスや黄砂による大気汚染。
・密閉した住宅に、ダニ、ほこりなどのハウスダストが増えていること。
・現代人の衛生管理や栄養状態が向上して、感染症が減り、逆にアレルギーの症状が増えた可能性。
これらが複合的に影響していると考えられています。
■最も多い結膜炎―花粉性アレルギー性結膜炎―
アレルギー性結膜炎の患者さんのなかで、特に春先のスギ花粉症は良く知られています。花粉はスギだけではなく、連休にかけてはヒノキ、初夏から秋には、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなど一年中何らかのアレルゲンとなる花粉が飛んでいます。症状は目だけでなく、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻アレルギーを併発します。

トラブルを未然に防ぐために

花粉やハウスダストによってアレルギー性結膜炎を発症する方は多く、お客様自身の自己判断で一時的にまつげエクステをお休みされるという方もおられます。特にまつげエクステが一般的なメイク方法となりはじめていることから「一時的なお休み」の判断もしやすくなってきています。しかし、まだまだ夏場のトラブルというのは一般的に理解されておられない方が多いようです。
夏になると湿度等で増殖しやすいウイルスの動きが活発になり、ウイルス性結膜炎である「はやり目」が流行することがあります。衛生管理がしっかりしているサロンで感染することは考えにくいですが、ウイルス性には潜伏期間があります。すでに、ウイルスに感染しているお客様が来店し、施術している間は何ともなかったが、施術が終わって数日後に発症し、まつげエクステが原因と勘違いされる――なども考えられます。
また、 まつげエクステを装着している時も装着していない時も、 目元の洗顔 ・ クレンジングは確実に行うように指導してください。 常に清潔にしておくことで、 ウィルスや細菌による結膜炎を予防することができます。
いずれにしてもお客様が目の不調を訴えた場合は、自分で判断をせず、専門医に診断してもらうようお伝えして下さい。
※アレルギーやウイルス、細菌が原因となる目の病気や症状は多々ありますが、それぞれ様々な物質に反応し、誰にでも可能性のあるものです。トラブルを未然に防ぐためにも施術毎のカウンセリングでお聞きしましょう。
! 一言ポイント
「グルーの品質管理を確実に。店内や機器は常に衛生的に。丁寧なカウンセリングは新規顧客、リピーターどちらも重要。施術後はしっかり乾かし、入浴洗顔は6時間以上時間を空けていただくこと。もしもの時はお客様の安全を最優先に。」

最後に
全国の先生方より「こういうことを知っておくことはサービスを提供する技術者にとってとても重要」「専門医の方の配慮や編集者の方が簡潔にまとめようとしてくれているため、とてもわかりやすいし人にも伝えやすい」というコメントを多数頂戴しております。 業界向けの情報ですが共感いただき参考にしていただけるというのは嬉しいことです。 こういった情報は「サロン・スクール・協会・松風の製品を使っていない」といったことにはこだわりませんので必要な場面でお役立てていただければ幸いです。業界NO1と成らせていただいた今、これらは私たちの責務であると考えて継続していきます。
(病気説明監修:眼科専門医 医学博士 廣辻徳彦先生)

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