まつげエクステ技術者養成基礎講座8.0
29/166

「保管と衛生管理」の意識向上を図る・ ポリブチレンテレフタレート( PBT )現在、主流となっている人工毛素材です。人工毛は、特殊な機械で一定時間加熱乾燥することでカールをつけていますが、PBTは形状記憶性に長けており、正確な技術で加工すれば長期間変形しにくく、耐薬品性にも優れています。2011年には、独自の技術開発により開発された高機能素材として、PBTに銀イオンを配合した抗菌機能を持つ人工毛「クリーンラッシュ®」が登場しました。更には、抗菌機能に加えて希少価値の高い本物のシルク(ナノフィブロイン®・シルクフィブロイン)を配合することにより、自然な柔らかさと漆黒の濃さ、マットな質感を実現した人工毛「シルクプロテインアイラッシュ」も登場しました。その他、地まつげとの接着強度を向上させる超精密レーザー加工を施した「グルーヴラッシュ」、紫外線カット率90%以上の「UVラッシュ」、丸断面ではなく扁平断面で軽さと柔らかさを備えた「スマートラッシュ」などの機能性訴求タイプも登場しています。それぞれのメリットを組み合わせた高機能人工毛の開発も進められています。●ごく稀に市場に流通するその他の素材・ポリエチレンテレフタレート( PET )ポリエステルと表現されることの多い素材です。「フレアタイプ・ブーケタイプ」と呼ばれる複数本の毛束状人工毛などに使用されることがあります。・塩化ビニール( PVC )ヘアエクステやウィッグなどに使用されることが多い素材です。比較的低温で変形しやすいのが特徴です。・獣毛(動物毛・タンパク質)「ミンク、セーブル、キツネ、リス」などが微量流通したことがあります。毛によっては申し分のない艶と質感が得られるというメリットはありますが、天然素材のため「長さ、カール、太さ」がバラバラで実際の使用は難しく、動物愛護の観点からも採用されることは滅多にない素材です。・人毛(髪の毛・タンパク質)主にヘアエクステに使用される人毛を加工したものです。獣毛や人毛はタンパク質なので、燃やしたときに出る特有の臭いで素材を判断することが概ね可能です。【注目ポイント】人工毛には様々な商品名がついています。例えば「シルク、セーブル、ミンク」などと呼ばれるものがありますが、通常、これらの素材はすべて「PBT」が用いられています。しかしながら、この商品名を「素材名」と誤認しているサロン、施術者、そして一般消費者は少なからず存在します。PBTは別名「形状記憶繊維」と呼ばれ、形状変化させた状態を維持する能力の高い繊維素材で、耐薬品性、耐熱性にも優れています。この特徴を活かして、ガラス棒やアルミ棒などに繊維を巻きつけ、特殊な機械で一定時間加熱乾燥加工してカールをつけます。通常、真夏の太陽にあたっても簡単には変形しませんが、稀に熱くなった状態で圧力を加えて急に冷やすと、カールが強くなったり、弱くなったりすることがあります。保管環境に対する傾注の他、装着後のアフターケアについて顧客への取り扱い上の説明も必須となります。衛生管理が難しく不衛生な状態で保管されがちであった人工毛でしたが、「クリーンラッシュ®」や「シルクプロテインアイラッシュ」の登場によって、トラブルを起こさないための意識が浸透しつつあります。29人工毛の素材Key Points

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る