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松風メディカルVo.8-接触性皮膚炎-

まつげエクステに纏わる病気-接触性皮膚炎-


肌が敏感な人は、化粧水や金属製のネックレス、ゴム手袋など、身の回りにある物が肌に触れことでかゆみや発疹を引き起こすことがあります。自分自身がそうでなくてもこのような話をご存知の方は多いでしょう。
 
同じように、まつげエクステの施術用品が肌に触れることで、かゆみや発疹を引き起こす方が稀におられます。
このようななんらかの物質が肌に接触することで引き起こされる皮膚の炎症を医学的には、接触性皮膚炎(かぶれ)と呼び、アレルギー性と刺激性に大別されます。
同様に接触でおこる皮膚の反応がじんましんの場合は接触じんましんといい広義の接触性皮膚炎として扱われることもあります。

ここからは皮膚科専門医の先生に一般的な接触性皮膚炎の話を伺います。

■接触性皮膚炎について
接触性皮膚炎とは、特定の物質が皮膚に接触することによって起こる炎症のことです。物質による皮膚への刺激が原因の「刺激性接触皮膚炎」とアレルギー反応で起こる「アレルギー性接触皮膚炎」に大別されます。
症状
刺激性接触皮膚炎では接触した部位に一致して症状が出ますが、アレルギー性では接触した範囲をこえて症状が出るのが特徴です。赤み(紅斑)と腫れ(腫脹)、水ぶくれ(アレルギー性では小水疱、刺激性では大水疱)を特徴とし痒み、ほてり、時に痛みなどを伴います。原因物質をさけられず、痒みで掻き続けると、慢性化して皮膚が厚く硬くなりきめが粗くなります(苔癬化)。接触じんましんは蚊に咬まれた時のような皮膚の一過性、限局性のむくみ(膨疹)で通常数時間で消腿します。

刺激と接触することが原因の「刺激性接触皮膚炎」

刺激性のある物質が皮膚に直接接触することによって起こります。刺激性が弱くても皮膚の方の調子がおもわしくないと発症することもあります。
代表的な原因には、アルカリ・酸などの化学物質、毒性を持った動植物、石鹸や洗剤、化粧品などがあります。
症状の度合いは、皮膚が受ける刺激・毒性の強さ、量や濃度、接触時間などによって程度が決まります。例えば、毒性が強い場合は、その分症状も強くなります。また、普段なら症状の出ない弱い刺激でも長時間接触していたり、頻回に接すると蓄積されて症状がでたりすることがあります。

アレルゲンが接触することが原因の「アレルギー性接触皮膚炎」

アレルゲン(アレルギーの原因物質)が接触することで、アレルギー反応を介して皮膚炎が起こります。過去にアレルゲンに反応する免疫システムを獲得した(感作といいます)特定の人にだけ発症します。感作には約一週間以上を要しますので生まれて初めて接触した物質には反応しません。アレルゲンに接触した場合、症状がでる時間は数時間から1日、長いときには2、3日後と遅れて発症し、人によって発症時間は異なります。
アレルゲンとしてよく知られているものに、うるし、さくらそうなどの植物や金属などがあります。診断のためには詳細な問診(何に接触したか)とパッチテストが必要です。

光接触皮膚炎

接触性皮膚炎の中には、接触だけでは発症せず、接触した上に紫外線が当たって初めて発症するというめずらしいものもあります。これを「光接触皮膚炎」と呼び、やはり「光刺激性接触皮膚炎」と「光アレルギー性接触皮膚炎」の2種類に分かれます。日光裸露部に出現するのが特徴で診断のためには光パッチテストが必要になります。

接触皮膚炎の原因とされる物質(接触じんましんの原因も含む)

微生物
細菌、カビ、ハウスダウストなど
果物
マンゴー、メロン、キウイ、いちじくなど
植物
うるし、銀杏、サクラソウ、スギなどの花粉、ブタクサなど
金属
時計のバンド、コイン、ネックレス、指輪、ピアス、Gパンのボタン、歯科治療に使う金属の詰物など。材質は、ニッケル、クロム、コバルトなど。
※チタンが一番発症しにくい金属といわれています。
化粧品
マニキュア、除光液、保湿剤、毛染め、パーマ液、制汗剤、香水、日焼け止めなど
その他
ゴム製品、衣類、灯油、塗り薬、絆創膏、湿布、テーピングなど

診断

皮膚科専門医であればある程度症状により、接触皮膚炎であることは診断がつきますが、確定のためさらに今後の再発防止のために、詳細な問診により可能性のあるアレルゲンを絞込みパッチテストを思考します。
パッチテストはアレルゲンによっては既に調整されて販売されているものを貼り付けする場合もありますが現物をそのまま貼り付けしたり、濃度調整をして貼付けしたりなどさまざまです。原則48時間に判定しますがパッチテストに精通した医師の判定が必要になります。
接触じんましんの場合もパッチテスト、プリックテストなどを行いますが15分から20分で判定します。

治療・予防

パッチテストに先立って治療を行ないます。問診で原因物質と疑われる物質に触れないこととステロイドの塗り薬で治療を開始しますが、症状がひどい時はステロイド剤の内服が必要になることもありあます。原因が除かれている場合は約一週間で症状は改善しますが十分によくなってから薬を中止します。
アレルギー性接触皮膚炎の予防はアレルゲンとの接触を完全に回避することで、その意味でもパッチテストでアレルゲンを特定しておくことはとても重要です。刺激性接触皮膚炎の場合も原因物質との接触の回避が重要ですが職業性のようなケースでは完全回避は困難なことも多く手袋などを使って慎重に触らないといけないケースもあると思います。
以上、皮膚科専門医のお話を聞きましたがまつげエクステの施術に際しどんなことが起こりうるかをあらかじめ知識として知っていることが重要と考えます。

まつげエクステのトラブルとしての接触性皮膚炎

以下の基礎知識を知って施術に臨むことが望ましいです。
・初回の施術でも発症するし、施術を重ねてゆくうちに発症することもある。
・過去大丈夫であった物質でもかぶれることがある。
・アレルギー性の原因物質は接触すると必ず症状再現される。
・アレルギー性の場合は接触した部位を超えて症状再現。
・アレルギー性の場合は両側のまぶたに症状出現。
・刺激性の場合は片側性のこともあり。
まつげエクステに関する接触性皮膚炎で考えられる原因物質
・化粧水、クレンジング、マスカラなどの化粧品の成分又は揮発物質。
・グルー「まつげエクステ用接着剤」(低刺激のグルーでも発症することはある)。
・ツィーザー(金属アレルギーの人)。
・固定テープ(敏感肌用でも起こる)。
・トレータイプの人工毛に付着しているわずかな粘着剤。
・雑菌が繁殖している不衛生な状態の人工毛やツィーザー。
・ツィーザーや人工毛の静電気(刺激性)
この他にも可能性は多数ありますが、まつげエクステによって起こりうる接触性皮膚炎は、施術技術に大きく影響されるものではなく、主に人の体質や使用状況に関わってくるものです。トラブルを未然に防ぐための個別のカウンセリング、サロンでの衛生管理が非常に重要となります。

おわりに

接触性皮膚炎は、原因物質を特定し、早期に治療すれば比較的すぐに治るといわれています。しかし、原因である物質は数多く存在し、正確に特定するためには専門の医師の診断が必要です。また、皮膚炎が悪化することで肌のバリア機能が低下し、細菌による感染症を併発することがまれにあります。不衛生な環境は、様々な病態の温床となりますので、衛生管理には細心の注意を払うことが大切です。
万一のトラブルの際は(お客様から肌の異常を電話などで伝えられた場合)その症状が軽症である場合でも独自の判断を行なわず、まずは病院へ診察いただくようお伝えしましょう。
(病気説明監修:皮膚科専門医 清水良輔先生)

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